カヌーイストで作家の野田知佑さんが亡くなった。
僕自身カヌーもカヤックもやらないけど、山を始めてアウトドアの世界に接する様になって自然に野田さんの本を読む機会が増えた。
「日本の川を旅する」など様々な本を読ませてもらったけど、そのどれもが面白く「あぁこんな旅をいつかしてみたいな」と思える内容ばかりだった。
毎日毎日決められた生活を送るんじゃなく、川を流れるように生きてみたい。
そう思わせてくれる旅の話。
男だったらきっと憧れる世界。
宅配で旅の起点に組み立て式のカヌーを送り、川を旅しながら旅先のキャンプ地で原稿を書いて、その土地の人々と触れ合いそしてまた流れる。
毎日決められた場所に行き、一日中そこで過ごし人に気を使い疲弊して帰宅する。
そんな毎日が嫌で仕方ない。
山に出会ってからはせめて休日くらいは当たり前の日常を忘れたくて(それが目的ではないが)自分の好きなような道を歩き、疲れ果てたらテントを張って自然の中で眠る。
少しでも自分の憧れる世界に近づきたくて山を歩き続けてる気がする。
旅先のテントの中で普段は飲まないウィスキーをチビチビやりながら野田さんの本を読みその世界に浸る。
少しでも荷物を軽くするために食べるものは質素極まりないけど、そういう時間がたまらなく贅沢に感じる。
いつか体力のあるうちに野田さんの様な生き方を実践してみたいとアラフィフになったここ最近は特に思ってしまう。
だが現実は現実。
生活するためには今の現状を受け入れるしかない。
この葛藤続きの毎日から脱却するべくまた野田さんの本を手に取る。
まだまだ新しい旅の話を読みたいと思ってたけど、安らかに、そしてまた新たな旅を続けてるんでしょうね。
そして僕もまた野田さんの本を手に旅に出かけたい。